仕事中、ひとりで勝手に、つらかった。
まわりから聞こえる、パソコンのキーボードを打つ音
カタカタ音が耳障り
「はいできた!」とエンターキーを打つ音はもう恐怖
なんでそんなに大きい?
なんでそんなに暴力的?
何か、お気に召さない?
あたしが、気に食わない?
あたしは劣等感の塊
でも、いっちょまえに腹は立つ
だってエンターキーうるさいもん
そうやって腹を立てている間はまだよかった
エンターキーの音がわざと大きいなら、ムカつくわ〜なんて思う余裕すらあった
だけど、そんな音がずっと耳に入っていると、おかしくなる
頭の中が支配されて、イライラで表情も歪んでくる
イライラの次は、イライラしている自分を責め出す
あたしが仕事が遅いからだ
みんながあたしにイライラしているんだ
できない自分を責め
イライラしていたことを恥ずかしく思い
自己嫌悪で潰れそう
自分で、自分を苦しめる
頭の中にエンターキーの音が響く
あの空間は、頭が痛くて、息苦しかった
何もかもを照らす明るい照明の下
人の心が透けて見えそうで
目が合ったら襲ってきそうな心
恐怖しかなかった
できない言い訳を探して取り繕ったり
開き直ったり
だけど結局、できない自分が、悪い
行き着くのは、そこ
できてさえいれば、済むことなんだ
できない自分が嫌い
悪いのは、自分
もう息ができない
透かされているのは、できないわたし
心はしぼんで
水や養分を与えたくらいじゃ復活できないほど
枯れ果てていく
起き上がれない
最悪の事態へ向かう
誰か、教えて欲しかったな
できなくてもいいと
優しく言って欲しかったな
そのままでいいと
そんな甘ったれたことと陰口叩かれても
言って欲しかった
もう動けない
自分がどうにかなりそうなこと、感じていたのに
まだまだとか、なんとかとか、信じてみようとか
誰かに認められて優しくされたくて焦った
誰かの言葉にしか救いはないと思ってしまった
自分で自分を助けることができたはずなのに
病気になったことより
できなかったことより
自分の心を誰かに救ってもらおうとしたことが失敗
逃げればよかった
走れるなら逃げればよかった
自分を救うのは、自分だけ
自分と戦うのは、自分だけ
自分を認めるのは、自分だけ
できなくてもいいんだよ
人の目とか
噂とか
仕事とか
会社とか
どうでもいい
クソくらえ
世界はそこじゃないから
つぶされないで
あなたの人生はあなたのもの
できる、できないの物差しは人それぞれ
自分が、自分を認めてあげればいい。
自分のペースで前に進めばいい。